犯罪被害者週間全国大会2018

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【2018年第16回全国大会の模様】

■日時:2018年11月24日(土) 12:30開場 13:00開会 17:30閉会 
■場所:浅草セントラルホテル



開会の言葉 ハートバンド 代表  前田 敏章(北海道交通事故被害者の会)
本日は、ハートバンド全国大会にご参加頂き、大変ありがとうございます。
警察庁参事官室をはじめ、関係機関や団体、支援の皆様、多数ご臨席のもと、この日を迎えられたことに、心より感謝申し上げたいと思います。
ハートバンドが誕生してから14年ですが、今年も、北は北海道、南は九州、全国16の被害者団体から、95人の仲間が集っております。
私は北海道の会からの参加ですが、北海道では、4月に「被害者支援北海道条例」が施行されました。明日25日は、条例に基づき定められた「北海道犯罪被害を考える日」の初年度です。道が「被害者に寄り添った支援とは」をテーマにフォーラムを企画しています。
基本法、基本計画の具現化が、徐々にではありますが、着実に地方自治体レベルで進みつつあることを実感し、私は、大変意を強くしてこちらに来ることができました。そして、このような、報告や交流の出来る事が、本全国大会の意義であると、改めて感じるところです。
奈良での先進的取り組みから始まり、大分県では、9月までに県内18市町村、全てで条例が作られたそうです。政令指定の名古屋市の条例は、札幌などもそうですけれども、条例を求める市民運動への、強力な援軍となっているところです。
こうした自治体における、条例制定を核とした取り組みは、くり返しになりますが、ハートバンドが2013年の大会で行った「市町村による支援の実態アンケート」、これがきっかけであります。その後、国の第3次基本計画でも強調されました。そして諸澤先生を監事とする条例研究会が示した「基本条例案」の取り組みもあって、基本法から10数年を経ての、現在の大きなうねりになっております。
基本法に盛られた多くの条項は「国及び地方公共団体は」という書き出しで、自治体の責務が記されているのですが、これまで遅れていた、「住民票のある市町村での生活支援」などが、全国的に改めて動きになりつつあることが重要です。
さて、本大会の目的は、全国の仲間が一同に集い、一人の力ではかき消されてしまう痛切な被害者の現状と想い、これを、力を合わせて訴えること、交流を深め、生きる力を分かち合うこと、これが一つですが、
もう一つは、正に条例運動がその主要な柱でありますが、被害者の尊厳と権利回復のための今日的課題を話し合い、ゆるやかな連携の中で、それぞれの団体が課題と向き合うことです。
そのために、ふれなければならないのは、2004年の基本法制定、2007年の被害者参加制度、2010年の公訴時効制度見直しなど、まさにわが国の被害者の権利の土台を築いた「全国犯罪被害者の会・あすの会」が、その役割を終え、この6月に解散されたことです。
ハートバンドは「あすの会」の活動に導かれ勇気を得て発足し、大会開催を続けてきました。 2010年の大会では、岡村代表幹事に講演をお願し、その後の活動に、指針を与えていただきましたが、忘れられない言葉があります。「権利は、泣いていても出てこない。闘って得るものだ」こう仰いました。そしてまた、「権利は、使わなければ消えてしまう」。岡村先生はイエリングというドイツの法哲学者の言葉をひいて、このように講演されたのです。
正に、政策集団としての「あすの会」の理念と不退転の気概を学ばさせて頂いたのですが、私たちは、「あすの会」の18年間の血の滲む活動に感謝し、報いるために、社会が基本法の本線からずれたときには、それを直ちに指摘できる、権利主体としての活動をしっかり担う必要があります。
基本法は、「あすの会」の力によって、犯罪被害者を哀れみと支援の対象として捉える「支援法」ではなく、被害者の尊厳とそれを護るに相応しい権利の実現をめざす「権利法」として制定されたという経緯を、私たちは忘れてはなりません。

支援の輪が広がり、被害者理解も深まりがありますが、大会で論議が続けられているように、刑事司法の問題など尊厳と権利回復の課題は、未だ、多岐に亘って山積しております。
意識改革や制度改正など時間を要する課題もあり、苦しく、時には社会不信に陥りますが、私たちは、これからも、仲間を信じ、社会を信じ、被害者が体現した、いのちの尊厳という視点から、社会正義が貫かれる世の中にするために、力を合わせたいと思います。合い言葉は、「いのち、希望、未来」です。
本日は、この1年間の活動の前進を共通の確信にできるよう、交流と討議をいっそう深めたいと思います。
皆さまのご協力を切にお願いして、挨拶に代えます。ありがとうございました。


【警察庁犯罪被害者等施策担当参事官室 参事官 赤羽様】

参事官挨拶 こちらから(PDF)


【公益財団法人 犯罪被害救援基金 専務理事 黒澤 正和様】

黒澤様 こちらから(PDF)

【公益社団法人 全国被害者支援ネットワーク 専務理事 秋葉 勝様】

秋葉様 こちらから(PDF)


【犯罪被害者の声 ・松井 克幸さん  強盗殺人事件被害者遺族】

平成24年5月、岐阜県瑞浪市において、妹(当時40歳)を金銭的に困窮した男に金銭強奪目的で刺殺される。
加害者は、仕事終わりの妹を呼び出し、予め用意していたナイフで妹の左胸を刺した。
死亡を確認するとすぐさま鞄からキャッシュカードを奪い、変装し現金を引き出した。
そして、妹を人気のない山中に連れて行き遺棄した。
5日後に遺体は発見され、加害者は6月に逮捕、7月に起訴された。
加害者は、多額の借金を抱えており、同時に2件の詐欺事件でも起訴された。
平成25年1月、裁判員裁判が開かれ、加害者は、計画性、殺意を否認したが、無期懲役が確定。
損害賠償命令も認められたが、現在までに損害賠償の支払いはされていない。

NPO法人犯罪被害者支援ネットワーク 緒あしす メンバー
公益社団法人 ぎふ犯罪被害者支援センター 理事

犯罪被害者の声はこちらから(PDF)

 
【犯罪被害者の声・濱口 栄俊・雅子さん  葉山町飲酒ひき逃げ事件被害者遺族】

2015年8月23日、神奈川県葉山町で起きた飲酒運転ひき逃げ事件で、長女望(当時23歳)を失った。

運転していた男は、海の家で友人3人とお酒を飲み、その後4人で車に乗り込み、法定速度の2倍近いスピードで暴走し、娘を含む3人を跳ね飛ばして逃げ去った。
その後、自宅に戻り、飲酒した事を隠す為に発泡酒を飲んだという偽装工作をし、シャワーを浴びて出頭。
危険運転致死傷で起訴され、懲役11年で、服役中。
一緒に飲んで騒いでいた同乗者3人に対して、運転者と同等の責任を問う民事裁判を起こしている。
年内には和解成立予定。

飲酒運転ゼロを目指すプロジェクトを展開中。
「素敵な飲み方してますか? Good Manners Drinking」
GMDプロジェクト 代表

犯罪被害者の声(濱口 雅子さん)        犯罪被害者の声(濱口 栄俊さん)

資料



【ハートバンドについて  団体紹介・活動報告】


活動報告はこちらから(PDF)


【ハート ・ リレートーク     一緒に考えよう みんなで話そう        
進行:小佐井 良太氏 (愛媛大学法文学部教授) 】


 

【ハートバンド全国大会2018 閉会あいさつ   
青木 聡子 (犯罪被害当事者ネットワーク 緒あしす)】 



先人の被害者の皆さまや、今ここにお集まりの皆さまの血の涙を流しながらの活動、 そして、サポートを下さる支援者の皆さまのお力添えで、法改正がされ、犯罪被害者への支援が広がってきたことを感じます。  

一方で、スピーチをいただいた松井さん、濱口ご夫妻のお話や、リレートークでご発言を いただいた方々のお声からは、まだまだ決して救われていない被害者の現状が明らかに見え、心が苦しくなります。
私たちが今日、仲間と分かち合った痛みや悲しみは、明日の社会を創るエネルギーに変えていきたいと思います。

そして、支援を隅々にまで行き届かせるために、あらためまして、関係省庁や自治体、警察、支援センター、弁護士会等、関係機関の方々には、どうぞ積極的にヒアリングやアンケートの機会を設けて頂き、被害者の声を反映頂きますようお願いを申し上げます。  
平成最後の全国大会がこうして終了できますことに感謝を申し上げますとともに、新しい年が希望に満ちた年になりますよう祈りを込め、閉会の挨拶とさせていただきます。

本日はありがとうございました。